2010年11月07日

アジアの反時代的精神はエキゾティシズムを祓い退ける――ピチェ・クランチェン『About Khon』日本版に寄せて

ダンス評論家の武藤大祐さんから、ピチェ・クランチェン上演に向けてのメッセージをいただきました。

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古くからダンスの宝庫として知られるアジア。しかしそのダンスの美がつねに政治と切り離せないものであることは、あまり知られていない。

宮廷や寺院を母胎に育まれてきた古典舞踊の美が「政治的」だというだけなら話はやさしい。しかしアジア各地のダンスは、とりわけ近代に入ると、自らの強烈な美と魅力によって苛まれてきた。煽情的だとバッシングされ、西洋風の「改良」を受けたり、王権の庇護を失って通俗化する一方で、「高尚」過ぎると大衆に見放され、はたまた過剰に保護されて博物館にしまわれてしまったり、実にさまざまな命運をたどった。

中でも、いまだに厄介な問題であり続けているのが「エキゾティシズム」である。異国情緒あふれる奇抜で魅惑的なテイスト、野性的でミステリアスな官能性……と表層を無邪気に消費したがる他者のまなざしこそは、本来そこにあるはずの奥深さに「神秘」のヴェールをかぶせ、異文化とその歴史を理解する道を閉ざし、商業主義の力でダンスを痩せ細らせてしまう。

ピチェ・クランチェンは、16歳の時からタイの古典仮面舞踊劇「コーン」を学んだ。そして近年、まさにこうしたエキゾティシズムをテーマとした作品を発表し続けている。いま、世界で最も批評的な現代ダンス作家の一人といえるだろう。

コーンは17世紀のアユタヤ王朝時代に発達し、歴代の王によって受け継がれてきた。しかし20世紀にタイが立憲君主制に移行すると衰退し、今日では観光客向けの娯楽としてリゾートホテルのプールサイドで演じられたりしている。ピチェの作品はこうした時代の趨勢に抗い、世代を超えて人々が蓄積してきた美意識と知性の結晶に新たな光をあてようとするものだ。

もちろん、伝統舞踊の様式にもとづいた斬新な振付で観客を魅了する作家はアジアに多く存在する。しかしピチェはいま、そうした方向へ向かっていない。身体だけでなく、テクストや映像など様々なツールを非常に効果的に使って、観客に「問い」を投げかけるような作品を発表し続けている。その手法はきわめてコンセプチュアルでありながら、古典ならではの重厚な身体技法に裏打ちされた説得力を備え、見る者を複雑に絡み合った「問い」の渦の中に巻き込んでしまう。

たとえば『I am a Demon』('06年初演)は、ピチェ自身の精密な反復運動とともに、必要最小限の映像や音声が挿入されることによって、彼が師匠から稽古を受けていた時の様子が浮かび上がり、「伝統」と「現在」のリアルな関係が舞台上でさらけ出される。最新作『Nijinsky Siam』('10年初演)は、まさにエキゾティシズムを売り物にしていたロシア・バレエ団で、あのニジンスキーがタイの古典舞踊をもとに踊った作品に対するコメントである。いずれも、異文化表象についてまわる過度の神秘化やエキゾティシズムへの批評的視点をパフォーマティヴに提示するもので、そこで観客が受け取るのは、「文化とは何か」「世界の複数性とはどういうことか」という、きわめて今日的な思考課題にほかならない。

今回上演される『About Khon』は、こうした一連の作品の起点ともなったフランスのジェローム・ベルとの共作『ピチェ・クランチェンと私』('05年初演)の姉妹編である。『ピチェ・クランチェンと私』は、ピチェとジェロームが互いのダンスとその文化的背景について、実演を交えながら対話を行うことで、観客に異文化との「出会い」を切実に体験させる名作だったが、今回の『About Khon』日本版で、ピチェは日本の山下残との対話を試みる。ジェロームとの共演が「ヨーロッパ」と「アジア」の出会いを意味していたとすれば、今回はいったいどんな出来事が生まれるのだろうか。

期待は高まるばかりだ。

武藤大祐


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ピチェ・クランチェン ダンスカンパニー
『About Khon』
11月12日(金)〜14日(日)、京都芸術劇場 studio21


チケット発売中です!
お見逃しなく!!

KYOTO EXPERIMENT 2010.10/28(Thu.)-11/23(Tue.)

公式ウェブサイト  http://www.kyoto-ex.jp
ツイッターアカウント  http://twitter.com/kyoto_ex
ピチェ公演 ツイッターアカウント http://twitter.com/kyoto_ex_pichet
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2010年11月06日

森!霧!鳥!etc.

構成・演出・振付・舞台美術:ジゼル・ヴィエンヌ

『こうしておまえは消え去る』

本日初日を迎えます!
この作品、初めて舞台で見るものが多く、
仕込みのときから圧倒されています・・・

以下、フェスティバル/トーキョでの公演を終えて
一息ついているジゼルさんのお写真です。
(左から、F/Tプログラム・ディレクターの相馬さん、特別アドバイザーのモン
ガゾンさん、ジゼルさん、制作のアン・セシルさん)

皆様のお越しをお待ちしております。

festivaltokyonite.JPG
posted by KEX at 17:38| Comment(0) | スタッフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ガケ書房に行こう!

フェスティバル開始から1週間、皆様いかがお過ごしでしょうか。
秋も寒さも深まる中、読書家の皆様に朗報です!
ミーティングポイント「flowing KARASUMA」でのブックフェアに引き続き、左京区の書店「ガケ書房」にてKYOTO EXPERIMENT関連書籍フェアが始まりました!
ガケ書房さんと言えばお店の外見や豊富な品揃え、面白い企画満載の書店ということで京都人の間では有名ですよね!

ガケ書房…造形大近く、赤い車が目印です!↓

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★コチラは店内の様子

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こちらはflowing KARASUMAとは一味違ったフェア展開がされています。
特徴的なのは絶版書籍の多さ!
現在は書店には出回っていない書籍を山下店長、みずからかき集めてくださいました。
個性豊かで珍しい書籍がずらりと並んでいます!

201011054.jpg 中でも『アガタ』関連の絶版本は必見!

 ブックフェアは会期中行っております。
 春秋座での観劇や、京都造形芸術大学をご利用のお客様は
 是非一度立ち寄ってみてください!
 ブック・フェア以外にも素敵な本との出会いが
 あなたを待っていますよ!
インターン 河本あずみ

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「ガケ書房」
〒606-8286 京都市左京区北白川下別当町33
TEL:075-724-0071/FAX:075-722-9403


KYOTO EXPERIMENT 2010.10/28(Thu.)-11/23(Tue.)

公式ウェブサイト  http://www.kyoto-ex.jp
ツイッターアカウント  http://twitter.com/kyoto_ex
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